キャプテン翼 ◎◎灼熱の中南米カップ ◎◎

日向小次郎を中心とした日本イレブンが、コロンビア・パラグアイ・チリ・ペルーなど中南米の個性豊かなチームやライバルと対戦するオリジナルストーリーです!

中南米カップ 第13話

■堕ちたエース

葵の鮮烈なドリブル突破と日向の豪快なロングシュートを契機にペースを取り戻しつつある日本イレブン。
中盤で持前のキャプテンシーを発揮する松山を中心に、チリの強力な中盤の攻勢に対しても徐々に互角に近い攻防を繰り広げるようになっていた。


中盤の底でリーダーシップを発揮しながら粘り強いプレイを続ける松山。
俊敏な葵と俊足の岡野が2つのタイプの機動力で相手を翻弄し、沢田が周囲に細かく気を配る動きで味方をうまくサポートする。

ジャーロを中心としたタフで激しいゾーンプレスに、複数の個性の連携で対抗する日本。
ハイレベルな中盤の攻防に盛り上がるアステカスタジアム。

しかしそんな中にあっても一人ペースを取り戻せずにいる選手がいた。
日本のキャプテンで司令塔、チームの要になるはずの弓倉である。

日本ベンチでも
「弓倉さん調子悪そうだな。」
と心配の声が上がっている。
それに対して井沢が思わずつぶやく。
「調子もあるけど弓倉さんは、その..何ていうかここ中南米のサッカーとの相性があまり良くない感じがするな。」

弓倉は幼い頃からプロのクラブチーム傘下のジュニアチームに所属しサッカーの腕を磨き上げてきた、いわばエリート選手である。
洗練されたスキルを持ち合わせている反面、黄金世代のように個性豊かな同世代の選手同士でしのぎを削ってきた経験は少ない。そのせいかどこか線の細さが漂う。
たしかにクセのある選手やトリッキーなプレイやダーティーなプレイも多く、ノリや勢いを重視する中南米のサッカーとの相性はあまりよくないかもしれない。

「監督はなぜ弓倉さんをキャプテン、しかもトップ下に...?」
と井沢は北詰監督に問いかけた。

自慢のサングラスをきらりとさせて
「今に分かるはずだ。」
力強く応える北詰監督だったが
「...多分。」
と小さく言い添える事も忘れなかった。

ベンチでそんな会話が交わされている中で、松山からのパスが弓倉に渡る。
パスを受けた弓倉にまたしてもビジャーロが襲いかかる。

しかし、向かい来るビジャーロに「くっ!」と一瞬ひるむ弓倉の表情を見て取ったビジャーロは、チャージはせずに弓倉の脇をすり抜けてそのまま前方へと駆け出してしまう。
「なにぃ!?」となる弓倉と日本イレブン。
心の中で「コイツはもう終わったな。」とツブヤくビジャーロだった。

そして、動揺を隠せない弓倉にガッティが
「お前なんかヤツが相手にするまでもないって事だ!」
と蔑んだ口調で言いながら激しいタックルをブチかます
またしても3メートル以上吹き飛ばされる弓倉。

ピピイーーーーーー!!
このタックルにはさすがにファウルのホイッスルが鳴り響く。

しかしファウルを取られたとはいえ一試合の前半だけでエースが2度も3メートル以上吹き飛ばされる、
しかも2度目は相手のエースのビジャーロではなくそれ以外の選手にというのは弓倉にとっても日本イレブンにとってもかなり屈辱の光景だった。

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