中南米カップ 第15話
■最後の1ピース
「弓倉さんのこのプレイは...」
日本ベンチでも弓倉のプレイに対する懐疑の念が高まるが
「いや、だんだんタイミングが合ってきてる。このプレイはもしかしたら日本の中盤攻略の最後の1ピースになる
と井沢がつぶやく。
そんな展開が続く前半終了間際、
前線の状況を視認しながらパスコースへ走り込む弓倉は
「ここだ!ここしかない!!」
と瞳をギラリとさせる。
前半終了間際、
それにスタミナでは劣る日本、
しかしトラップ&
さすがの危機察知能力である。
しかし、そこに日向が弓倉とビジャーロの間に体を入れて防ぐ。
そして
「頼んだぜ、キャプテン!」
と叫ぶ。
「サンキュー日向!」
そう返しながら緻密にコースとタイミングの計算されたパスを前方
美しい奇跡を描くパスを左サイドの岡野が俊足を飛ばして受け取る
ギャラリーが一斉に注目する線審のオフサイドフラッグは...
「
とアナウンサーが興奮気味に叫ぶ。
「これこそが監督が弓倉さんをトップ下に据えた意図...」
と興奮気味の井沢と自慢のサングラスをくいっとして思わず前のめ
翼と岬が不在の日本、高めのプレスで押し上げられたチリのディフェンスラインを切り裂く決定的なパスを繰り出すことのできる選手は弓倉をおいて他にいない。
「行けー!」
日本ベンチの声援を受けて快足を飛ばす岡野はゴールエリアへ近づ
フォワードの若島津へとセンタリングを蹴り出す。
が、その瞬間クイッと軽くその裾が引っ張られる。
またしても”いたずらっ子”ピントである。
わずかに体勢を崩された岡野のパスは、
「ああ~...」となる日本イレブン。
しかし若島図は高々と空中へジャンプして叫ぶ。
「このボールは意地でも絆ぐ!」
そして空中で反転して、空手の回し蹴りの要領
そして、
空中での回し蹴りからしなやかに降下する若島津の影とボールへと
「
と叫ぶアナウンサー。
ドギャッ!!
その日向の放つその鋭い弾道はチリゴールの左隅へと鮮やかに突
「決まったー、ゴオオーーーール!!キーパー一歩も動けず!
と絶叫するアナウンサー。
苦戦の中での先取点、
ピピイーーーーーー!!
そしてここで前半終了のホイッスルが鳴り響くのだった。