キャプテン翼 ◎◎灼熱の中南米カップ ◎◎

日向小次郎を中心とした日本イレブンが、コロンビア・パラグアイ・チリ・ペルーなど中南米の個性豊かなチームやライバルと対戦するオリジナルストーリーです!

中南米カップ 第17話

■チリの復権

ピイィィィ――――――――――――!!
「さぁー、いよいよチリvs日本、後半戦が始まりました。」
とアナウンサー。

彼は更に続ける。
「チリは選手交代があったようです。
FW xxx君に代わって、FWアレハンドラ・アギラール君、背番号99。
身長194cm、体重99kg、まるでプロレスラーのような体型、なかなかの迫力の選手です。
手元の資料によるとチリのクラブチームを転々としている選手のようです。公式戦の出場記録が少なく情報が少ないのですが、嵐の大地とも呼ばれる南米南部パタゴニアの僻地出身、その野性的なプレースタイルから、一部では「パタゴニアの荒くれ者」「荒野の暴れん坊」などと恐れられているようです。やや問題児のような側面もある選手のようですが、はたしてどんなプレーを見せてくれるのでしょうか!?」

 

 


そんな後半5分、はじめにチャンスを手にしたのはチリだった。
トップ下のビジャーロが松山の激しいタックルを持前のフィジカルで耐えながら出したスルーパスを右サイドに走り込んだピントが受ける。
ジャーロ→ピントのライン、チリの必勝パターンの1つである。

そのパスをすかさず高々とセンタリングするピント。

そのボールを目で追いながら
「クックックッ、暴れてこいアギラール。」
瞳をギラリとさせて不敵につぶやくエスタージョ監督。

そのアギラールは、センタリングをクリアしようとジャンプした石崎と早田を
「どけっ、チビども!!」
とジャンプして空中で軽々と吹っ飛ばすと、そのままジャンピングボレーの態勢に入る。
アナウンサーは興奮気味に
「あーっと、アギラール君、これはその巨体に似つかわしくない大ジャンプからの嵐のようなアクロバティックなジャンピングボレーシュートだー!!」
と叫ぶ。

ドゴォ!!
高い位置からの叩きつけるような激しいシュートが若林ゴールを襲う。
「くっ!」
横っとびして手を伸ばす若林だが僅かに届かず、その指先をすり抜けたボールは...
ガコォ!!
ゴールポストの角に当たると、そのままゴールラインを超えてフィールド外へと逸れていく。

「ウォーーーー!!」
ゴールにはならなかったものの豪快でアクロバティックなアギラールのプレーに騒然となるスタジアムのギャラリー。
ゴールポストはまだミシミシと揺れている。
ぞーっとなる日本イレブン。

チリベンチでは
「あの練習ぎらい野郎、もう少しキックの精度を高めていれば..。」
という声が上がるが、エスタージョ監督は
「いや、これでいいんだ。これくらい荒れたシュートの方が若林からはゴールを奪いやすい。このシュートを何本もぶち込めばいずれ必ずキまる。」
二ヤリとして不敵につぶやくのだった。