中南米カップ 第12話
■反撃へのムチャぶり!?
「もらったぞ、ワカバヤシ!」
ビジャーロの右足が鋭く振り下ろされる。
と、
「なにイ!?」
日向である。
フォワード日向のスライディングタックルがビジャーロを襲いボー
「あの9番、ペナルティエリア内で怖くねーのかよ。」
観客席では観衆のそんな声もチラチラ聞こえる。
フォワードが味方ゴール前まで下がる、
賛否や評価の分かれる際どいプレーに、低くザワつくスタジアム。
日向は、そんな事にはお構いなしに、
「葵、ドリブルだ!ドリブルで一気にゾーンを切り裂け!!」
「えっ!?ええ~~!??」と葵。
ドリブルは通常は相手陣内、特にゴール近辺で仕掛ける事が多い。
"正気ですか?全力でお断りします"、
(くっそー、日向さんのヤツ、イタリアでは俺の方が先輩なのに.
そんな事を思いつつも、
断るわけにはいかない。それに...。
この位置からのドリブル突破、ちょっと面白そうである。
「よし!」
というと迫ってくる相手選手に対して...。
チョンと股の間にボールを通す。
葵の得意技の1つ、股抜きシュートの応用、
「なにイ!?」
てっきりキーパーに戻すかサイドに逃げると思っていたチリFWは
想定外の事態に浮足立つチリ選手をチョコマカとしたドリブルでさ
「青い信号は止まらない!」
トップスピードに乗りこのセリフがとび出した時の葵のドリブルは
さらに一気に数人のチリ選手を抜き去る。
慌ててフォローに入ったピントがスッとシャツを引っ張ろうとする
「そうゆうプレイならイタリアで慣れっこさ!」
とこれも手ではたきながらかわす。
と、チリ中盤の底に位置するチリ中盤のディフェンスの要ガッティが
「バカめ、ボールを持ち過ぎだ!」
と立ちはだかる。
が、ここで葵は得意技、ルート・
ちょこまかとした細かいボールピッチのドリブルから一転しての大
「あーっと、葵君、
とアナウンスされたその瞬間、
「No memes(フザけるな)!!」
と、
ビジャーロである。
と、ここで
ピイイーーーーーー!!
とホイッスルが鳴り、ビジャーロにイエローカードが出される。
観客席でウルグアイの火野が
「冷静なビジャーロが珍しいな。」
とつぶやくと、ビクトリーノが
「Haha-!どうやら"中盤のコンキスタドール"
と返す。
「大丈夫か?」
と慌てて駆け寄る日向に、葵は
「イタタタタ、日向さんイタいっす。」
と恨めしそうな視線を向ける。
日向は、葵が負傷していない事を見て取ると、
「見ろ、葵。」
と言って観客席に視線をやる。
「うおおおおーー、いいぞーチビッ子ー♪!」
戦術的には必ずしも褒められたプレイではないが、
「いいか、葵。
と言うと不満顔の葵を尻目に、
息のとれたクイックリスタートに一瞬対応の遅れるチリイレブンを
その弾道は「チッ!」
得点とはならなかったもののゴールを鮮烈にイメージさせるその弾
ぞーっとす立ちすくむチリイレブン。そして「ウオオーーー!!」
「くっそ!」
と軽く悔しがる日向だったが、
「チッ、あの日本の9番、勝負のやり方を知ってやがる。」
苦虫をかみつぶしたような顔で悪態をつくチリ・