キャプテン翼 ◎◎灼熱の中南米カップ ◎◎

日向小次郎を中心とした日本イレブンが、コロンビア・パラグアイ・チリ・ペルーなど中南米の個性豊かなチームやライバルと対戦するオリジナルストーリーです!

中南米カップ 第5話

■波乱の開幕フェス!① --- アンデスの鉄人 ---■


メキシコシティ郊外のとある広大な公園。

今日はラテンのノリの(?)主催者の取り計らいで、この公園を借り切っての中南米カップの開幕フェスティバルが開催されることになっていた。
大会前の国際親善を目的としていて、参加国の選手やスポンサー、報道関係者が招待されている。
屋外でのビュッフェ形式だ。

 

日本イレブンもやってきている。石崎は
「まったくラテン系のヤツらは考えることが派手だな。
それにしても大会前のピリピリした状況で何が国際親善だよ。」
と言いながらバーベキューの串焼きをほおばっている。
あまりピリピリしているようには見えない。


「まったくや。んっ?あそこに見えるのはアルゼンチンのシュラスコ、それにあっちにはペルーのセビーチェ!?」
メキシコのタコスをほおばりながら相槌を打つのは中西。
こちらはピリピリとはしていないが、南米各地の料理を前に目移りし過ぎて軽くパニック状態だ。

その一方で葵新伍は自分で持ってきたサッカーボールでポンポンとリフティングをしている。
「おい、葵。こんなトコにまでボール持ってきてんじゃねーよ。」
と石崎。
葵は
「えへへっ!"ボールはいつだって友達 by 翼さん"ってね。」
「まったく..。翼も"いつだって"とは言ってねーだろー。」と石崎。

それにしても葵のリフティングは鮮やかなものである。
さすがにイタリア修行下積み時代、リフティングの大道芸で小遣いをがっぽりと稼いでいただけの事はある。
いつの間にかけっこうな数のギャラリーが集まってきている。

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↑葵 新伍 登場巻です!

 

と、突然葵の前を黒く小さな影がよぎって葵のボールを奪った。
「!?」

影の主は小柄な葵よりもさらに小柄なイタズラっぽい瞳の子犬のような外国人だ。
「こいつっ!」とボールを奪い返そうとする葵だが
ギャラリーの間をチョコマカとすり抜けたり小狡くギャラリーを盾にしたりしてかわすその少年のボールをなかなか奪うことができない。

日本イレブンの中でもトップクラスの敏捷性を誇る葵が翻弄される様子を見て
「なんで素早いやつだ!」と驚く日本イレブン。
素早さだけなら葵も負けてはいないが、マナーを気にせず狡猾にギャラリーを利用するその外国人の方が、この状況ではが一枚上手のようだ。

と、一人の精悍な青年がその少年を一喝するとボールを奪った。
「なにぃ!?」
目まぐるしく変わる状況に驚く日本イレブン。
「あ、あれはチリ代表"アンデスの鉄人"アンヘル・ビジャーロ"...なんだな!」
と井出。

葵はその青年からもボールを奪おうとするが
ボールをしっかりと地面に踏みつけてキープしているその青年からボールを奪うことができない。

中学生時代に対南葛戦で次藤が使っていた技だ。
しかし彼の場合はサッカーのスパイクではなく通常の皮靴でそれをやってのけている。
「コイツ...!なんて筋力だ!」と驚く日本イレブン。

と、その青年の前にラフな短髪に大柄で筋肉質な青年が立ちはだかる。
「火野 竜馬!!」と日本イレブン。
かつてウルグアイ代表として日本イレブンとも戦った事のある
日系ウルグアイ人のパワーストライカーだ。

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ギャラリーの中からこんな声が上がる。
「おい、アレってウルグアイのヒノじゃねーか!?」
「それにもう一人はチリ代表キャプテンのビジャーロ...!」
大物のツーショットにざわめき立つフェス会場。
スマホのカメラで写真を撮る者もチラホラといるようだ。

対峙する2人の大物プレーヤー。

「そのボールはコイツらのだ。返してやってくれないか?」
と火野はビジャーロと呼ばれる青年に言った。

事情を察したビジャーロは、ボールを蹴って返すと
自分よりも遥かに大柄な火野に臆する様子もなく
「どうやらチームメイトが迷惑をかけたみたいだな。だけどこうゆう所にボールを持ち込むモンじゃないぜ。」
と言うと、騒ぎの元となった少年の首根っこを掴むようにして悠然と立ち去るのだった。