キャプテン翼 ◎◎灼熱の中南米カップ ◎◎

日向小次郎を中心とした日本イレブンが、コロンビア・パラグアイ・チリ・ペルーなど中南米の個性豊かなチームやライバルと対戦するオリジナルストーリーです!

中南米カップ 第6話


■第6話 波乱の開幕フェス!(2)■

「サンキュー火野、助かったぜ!」と石崎。
「おう、久しぶりだな、石崎それに日本のみんな。」と火野。

 再開に沸く日本イレブンと火野。

 

と、そこへ長髪をなびかせてしなやかな褐色の肢体の青年が現れる。
「こんなとこにいたのかヒノ。監督が探してたぜ。」
ウルグアイで火野とツートップを組む俊足ストライカー、ラモン・ビクトリーノだ。

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ジャーロに続いてのビッグプレーヤーの出現にまたもやざわめくギャラリー。

彼は日本イレブンに気付くと
「Hi、ハポネス!今大会、お互い良いプレーしようぜ♪」
と陽気にあいさつするのだった。

ウルグアイは先のワールドユースでは日本に敗退している。
その割には敵愾心の全く感じれないフレンドリーなあいさつだ。

いぶかしむ日本イレブンに気付いた火野はこう語り出した。
「今回、悪いが俺達はお前らをライバルとは思っていないんだ。」

「!?」と日本イレブン。

火野は続ける。
「今回のカップには神5と呼ばれる5人のワールドクラスのトッププレーヤーが出場している。」
なんかどこかの某アイドルグループみたいだな、と思う石崎。
火野はさらに続ける。
ウルグアイの俺とビクトリーノ、メキシコのエスパダス、コロンビアのフォルテーザ、それにパラグアイのダルバロスだ。
そして優勝国は間違いなくこの5人を擁する4カ国の中から出るだろう、とメディアやファンは予測している。つまりウルグアイ・メキシコ・パラグアイ・コロンビアの中からな」
「!!」と日本イレブン。
「ツバサ・オオゾラ不出場の日本、お前らは今回まったく眼中にないって事さ。」
一本木な火野は、悪気は全くないものの、まったくオブラートに包むこともなく豪快に言い放つのだった。
「...!?」
唖然とし憮然となる日本イレブン。

と、突然どこからかパチパチパチと拍手が鳴り響く。

音のする方を振り返ると、そこには随分と派手で軽い感じの青年が立っている。
明るく染め上げ軽やかにアソばせた髪、どこか狐を思わせる整った派手な顔立ち、片耳にはピアスが揺れている。
「"イケメン俳優" ロメロ・ピエロタ!?」
とギャラリーから声が上がる。


ペルー代表の新星ミッドフィルダー、今大会No.1のテクニシャンと目されるプレーヤーだ。
派手な風貌と美麗なプレースタイルから"フィールドのアクトール(俳優)"とか"イケメン俳優"などと呼ばれ、最近メキメキと注目度を高めているプレーヤーである。


またしてものスタープレーヤーの登場に盛り上がるギャラリー。

ただ一人彼のすぐ近くにいる松山は
「コイツ...!?今どこから現れたんだ..?こんな派手なナリでギャラリーに紛れていたのか...??」
と軽い違和感を覚える。どこか不自然な登場の仕方である。

ピエロタは
「ヘーイ、ヒノ、なかなかナイスな解説ありがとー♪。だけどボクの事も忘れて貰っちゃ困るね~♪」
と陽気に言うと、葵からボールを借りて、おもむろにリフティングを始めた。

ラテンのビートに軽やかで華麗、そしてキザとも言えるテクニック。技術的に卓越しているだけでなく、人を魅了するような華やかな雰囲気を醸し出している。
「す、すげぇ。」と日本イレブン。
「いいぞ~」と盛り上がるギャラリー。

ローマ彫刻のような少し仰々しいポーズでフィニッシュを決めると、一気に盛り上がりを増すギャラリー。

 

その後、彼はボールを火野の方へと返す。
それまでの柔らかいボールタッチと比べると、少しだけ強めのパス。それに葵から借りたボールなのになぜか火野へ。

しかし、流れるように自然な所作のせいか、その事に違和感を感じた者はあまりいないようだ。

 

そして右足でトラップする火野の足元をみて、(二ヤリ..)とわずかに口元を緩めるピエロタ。

そして「それじゃあ、またね~♪」
と日本イレブンの脇を駆け抜ける。

 

ふと彼は火野とのすれ違いざまに、
「そんな怪我で試合に出場していいのかい?」
とポソリとつぶやく。
ガバッ振り返る火野の顔を確認し二ヤリとするピエロタ。

「!!コイツ、カマをかけやがったのか..」
と舌打ちする火野。
そして
(チッ、ロメロ・ピエロタ、嫌な選手だぜ)
と思うのだった。

その後、ピエロタは近づいてくる大柄な一団を認めると、何かを思いついたように日本イレブンのテーブルに置かれているグラスの位置をスッとずらして立ち去るのだった。